テーマ:基礎と臨床の接点~理学療法における基礎研究の意義

  日本基礎理学療法学会主催の第25回日本基礎理学療法学会学術大会を、20201212日(土)から1218日(金)の1週間、Web開催することになりました。当初は、仙台国際センター(展示棟)での開催を予定しておりましたが、今般の社会情勢を鑑み、苦汁の決断ではありましたが開催方法を変更した次第です。学術大会の開催にあたっては、当初の開催趣旨を堅持し、参加される皆様が十分に議論できる場を確保したいと考えております。また、このような社会情勢にありながら200題を超える一般演題の申し込みがありましたこと、皆様の研究に対する真摯な姿勢に対して敬意を表するとともに、あらためて大会長としてお礼申し上げます。

 日本基礎理学療法学会は、臨床における理学療法効果の根拠となる知見を得るための学問分野として、真に科学的な理学療法学の発展に寄与することを目的に設立されました。この目的を達成するために、1)人体構造・機能・情報学、2)身体運動学、3)神経生理学(運動制御・運動学習)、4)運動生理学、5)生体評価学、の五つの研究領域を設けられ、活発な議論がなされてきたところです。そして、本学術大会より、6)理工学(ロボティクス,機械学習,AIBMIに関する研究を含む)、7)基礎から臨床への橋渡し研究(基礎研究の臨床応用,臨床における治療法の開発,効果の検証に関する研究を含む)、の二つの研究領域が新たに設けられ、理学療法の発展と時代の要請に応えるべく体制が整えられました。これまでの研究領域での演題はもとより、新たな研究領域への積極的な発表をお願いする次第です。

 さて、本学術大会テーマは「基礎と臨床の接点~理学療法における基礎研究の意義~」としました。ご存知のように、本学会は設立当初より臨床理学療法に貢献できる基礎研究の深化を目指してきたところです。このような本学会の精神は、日本理学療法士協会学術局理学療法基礎系研究部会の頃から育てられ、第44回日本理学療法学術大会(2009年)では「基礎研究と臨床理学療法のbridging」と題するシンポジウムが開催されたことにその精神が具現化されています。そこから10年が経過した今、新たに基礎と臨床の接点を探ることは、これからの基礎理学療法研究の方向性を考えるうえで重要であると考えていす。そこで、特別講演では長崎浩先生(東北文化学園大学名誉教授)、金子文成先生(慶應義塾大学)に、教育講演では河上敬介先生(大分大学)、市橋則明先生(京都大学)、大鶴直史先生(新潟医療福祉大学)、中山恭秀先生(東京慈恵会医科大学附属病院)、星文彦先生(埼玉県立大学)、樋口貴広先生東京都立大学)にご講演頂きます。これらに加えて、四つのシンポジウムと200演題の一般演題を予定しています。本学術大会が、社会のニーズに応えられる理学療法学の発展に寄与できるよう願っています。

 

2020年9月吉日

 

 

第25回基礎理学療法学会学術大会

大会長  藤澤 宏幸

(東北文化学園大学)